彼は裁かれた。それでも自由かもしれない。
――イタリア、ロシア、アメリカ、三つの事件は、ひとつの戦争だった
He Was Convicted. Yet He May Still Be Free
――Italy, Russia, America — Three Incidents, One War
2026年4月19日
発行元:一般財団法人 日本危機管理研究所
*This article is available in English via Google Translate.
目次
◆ 本稿のねらい ――三か月に集中した、同じ構造
◆ 要旨 ――司法が終わった後、何が始まるか
第一章 ――イタリアの法廷で何が起きたか
第二章 ――アメリカが「法の旗」を使った日
第三章 ――ロシアは逮捕の前に動く
第四章 ――三つの事件を貫く一本の論理
◆ まとめ ――司法のあとにくるもの
◆ 参考資料
◆ 用語集 ――本稿を読むための言葉
◆ 本稿のねらい ――三か月に集中した、同じ構造
本稿が取り上げる三つの事件は、いずれも2026年2月から4月、イラン戦争開戦前後の三か月に集中している。偶然ではない。
イタリアの最高裁が判決を下した。「中国人ハッカーを米国へ引き渡せ」、と。司法は正しく機能した。しかし彼はまだ、自由に近い状態にある。なぜか。
この問いを入口に、本稿は過去三か月間に三つの異なる国で起きた「同じ構造」を照合する。イタリア、アメリカ、ロシア——それぞれの文脈で、司法手続きが完了した後に「別の論理」が作動した。その論理の正体を追ううちに、三つの事件は別々の話ではなくなった。そして日本はこの構造の外側にいない。本財団の既報三件の一次資料分析と接続しながら論証する。
◆ 要旨 ――司法が終わった後、何が始まるか
・ 2026年4月、イタリア最高裁が中国人ハッカー・徐沢偉の米国引き渡しを確定した。司法手続きは完結した。しかし執行は今、メローニ政権の政治判断にかかっている。外相タジャーニが北京を訪問中のこの瞬間、ローマは米中どちらへ傾くかを問われている。
・ 2026年3月、INTERPOLが72か国参加の国際サイバー犯罪摘発を発表した。しかしこの作戦は、米・イスラエルによる対イラン統合軍事作戦の開始からわずか2週間後に発表された。【後述・第二章に出典明示】国際協調の外皮の下に、対イラン包囲網という単独の地政学的戦略があった可能性が高い。
・ 同じ月、ロシアは世界最大級のサイバー犯罪フォーラム「LeakBase」の管理者を逮捕した。これは法執行ではない可能性が高い。西側の認証情報を国家のサイバー工作へ組み込むための、静かな徴兵であったと本稿は論じる。
この構造の中で、日本はどう備えるか。三つの事件を貫く論理は、すでに日本の外側にない。本稿の末尾で制度的な選択肢を提示する。
三つに共通する論理:司法手続きの完了は、釈放の条件ではなく、交渉の開始点である。「犯罪者を裁く」という行為は、地政学的取り引きの手段として機能してきた。そして今回、イラン戦前後三か月間に起きた三つの事件は、並列ではない。封じる動きと流す動きが同時に走る、同一の情報戦の断面である。この構造の中で日本は受け身である必要はない。
第一章 ――イタリアの法廷で何が起きたか
2025年7月3日朝、ミラノ・マルペンサ空港。イタリア警察は一人の中国人男性を逮捕した。徐沢偉、33歳。妻と「休暇のため」入国したところであった。
逮捕状は2023年11月、テキサス州南部連邦地裁が発行したものである。FBIの捜査によれば、徐は2020年、新型コロナウイルスのワクチンと治療法に関する機密情報を狙ったハッカーチームの一員であったとされる。容疑はコンピュータ不正アクセス、通信詐欺、身元詐称——最大で懲役20年に相当する。
徐本人は一貫して否定した。「自分のアカウントが何者かに乗っ取られた可能性がある」と法廷で述べた。
しかし司法の判断は明確であった。ミラノ控訴院は2026年1月、米国側の訴追内容は正当であり、弁護側が主張した「政治的犯罪」には該当しないと判断した。2026年4月、破毀院がこれを確定し、司法手続きは完結した。
ところが、ここで手続きは止まった。
破毀院の判断が下りた瞬間から、問題は司法の領域を離れた。引き渡すかどうかは今や、メローニ首相とノルディオ法務大臣の政治的判断にかかっている。そしてこの決定は、外相タジャーニが中国を訪問中の、まさにその瞬間に下されることになった。
この「タイミング」は偶然ではない。
ローマが直面している構図はこうである。徐を引き渡せば、北京に対して「ここではワシントンの優先事項が支配する」というメッセージになる。引き渡しを拒否すれば、あるいは再び「逃亡」が起きれば、最も重要な同盟国からの信頼を失う。
「再び」という言葉には前例がある。2023年3月、ロシアの新興財閥に近い実業家アルテム・ウスが、破毀院の審理中に自宅軟禁から脱走した。この事件はノルディオ法務大臣による関係判事への懲戒処分を招き(後に無罪)、イタリアの司法と政治の間に深い亀裂を残した。
徐沢偉事件は、その亀裂の上で進行している。
しかしここで立ち止まる必要がある。アメリカは本当に、徐を「裁くために」求めているのか。
FBIの訴追内容はコンピュータ不正アクセスと通信詐欺である。しかし徐が関与したとされるハッキングの標的は、ワクチンと治療法に関する機密情報であった。彼が保有している可能性があるのは、中国の国家的サイバー作戦の手口と、関与した組織の構造に関する情報である。法廷での懲役判決はその情報を引き出す手段にはなりえない。しかし身柄の確保は、司法取引という別の交渉を可能にする。
つまり、米国が求めているのは「徐を罰すること」ではなく、「徐が知っていること」である可能性が高い。この視点に立てば、ローマが迫られている決断は、法的義務の履行ではなく、米中どちらの情報戦略に与するかという選択に他ならない。この構造が持つ意味については、第四章で改めて論じる。
第二章 ――アメリカが「法の旗」を使った日
2026年3月14日、INTERPOLは「Operation Synergia III」の成果を発表した。72か国が参加し、45,000以上の悪意あるIPアドレスを無効化、94名を逮捕——数字は確かに印象的であった。【INTERPOL公式発表、2026年3月14日】
しかし発表には奇妙なタイミングがあった。
米・イスラエルによる対イラン統合軍事作戦は、複数の安全保障メディア(The Times of Israel、Al-Monitor等)が2026年2月末の開始と報じており、本財団もその時期を軸に分析を行っている【7】。INTERPOLの発表はその、わずか2週間後であった。しかも国際犯罪会議ウィーン・サミットの閣僚会合の前日という、外交的演出として典型的な日程であった。
これが偶然である可能性は低い。本財団の分析が示した「現代戦争の四層構造」を参照すれば、この作戦の位置づけが見えてくる【7】。軍事、サイバー、金融、そして犯罪追跡——INTERPOLの作戦は第四層として機能した可能性が高い。イランの外貨獲得手段であるランサムウェア収益と仮想通貨マネーロンダリングを封鎖する、対イラン包囲網の一部であったと本稿は推定する。
「誰がINTERPOLを動かすか」は、「誰がINTERPOLに金を出すか」と切り離せない——これは構造的な推論であり、個々の決定への直接的な証拠があるわけではない。しかし資金拠出と人事の相関は、国際機関の研究において広く論じられてきた問題である。
INTERPOLの資金構造 INTERPOLの年次財務報告書(INTERPOL Financial Report 2022)によれば、米国は最大の義務的拠出国として年間約1,600万ユーロを拠出している。また、UAEによる多額の任意拠出については、Reuters(2017年)およびThe Guardian(2021年)が報じており、5年間で約5,000万ユーロ規模に達するとされる。その後の2021年、UAE内務省高官がINTERPOL総裁に選出されたことは確認された事実である【INTERPOL総会議事録、2021年】。
国際協調の外皮の下で、地政学的利益が作戦の方向性を決めた可能性が高い。「誰を裁くか」は「誰が邪魔か」によって決まる——これがアメリカ型の構造である、と本稿は論じる。
第三章 ――ロシアは逮捕の前に動く
イタリアとアメリカの事例が「逮捕後の政治介入」だとすれば、ロシアの戦略はさらに一歩先を行く。逮捕される前に、国家が先に動く。
2026年3月26日、ロシア内務省は一人のサイバー犯罪者を逮捕した。南部タガンログ在住、33歳。ハンドルネーム「Chucky」——世界最大規模のサイバー犯罪フォーラム「LeakBase」の管理者である。【TechCrunch / BleepingComputer報道、2026年3月27日】
なぜロシアは、自ら取り締まったのか。
LeakBaseにはロシアの不文律があった。「ロシア国内のデータを標的にしない限り、当局は動かない」——いわゆる安全地帯の条件である。ChuckyはこのルールP守り続けていた。にもかかわらず逮捕された。
本財団の分析が論じるように、これは法執行ではない可能性が高い。戦略的シグナルである【8】。
LeakBaseには西側の政府機関・軍関係者・金融機関・重要インフラ企業の認証情報が大量に蓄積されていた。「自由に動く犯罪者」として放置するより、「国家が管理する兵器」として接収する方が、イラン戦争下のロシアにははるかに価値が高い——そう判断したとみられる。
EUROPOLの報道官は「ロシア当局との協力はなく、今回の逮捕には関与していない」と明言した【5】。ロシアは国際社会と「協力した」ように見せかけながら、実際にはChuckyを西側に引き渡す意図はおそらく全くない。彼はロシア国外への渡航歴がなく、引き渡し条約もない。
法執行のふりをした、静かな徴兵——これがロシア型の構造である、と本稿は論じる。
なお、この構造の先行事例として、FBIが最重要指名手配リストに今も掲載し続けるエフゲニー・ボガチョフがいる。Zeusウイルスの開発者として数億ドル規模の金融詐欺に関与した疑いで起訴されているが、ロシア国内に留まり続けている。米国務省は身柄に300万ドルの懸賞金をかけたが、引き渡されていない【6】。彼はロシアにとって、逮捕すべき犯罪者ではなく、保護すべき資産である——これは推論ではなく、行動の結果として示されている事実である。
ここで見落とされがちな経路がある。
LeakBaseに蓄積された認証情報は、ロシアの手に渡ったとみられる。世界最大級のフォーラムが長年収集した認証情報には、米国の政府機関、イスラエルの軍関係者、NATOのインフラ管理者のものが含まれていた可能性が高い。
ロシアはその情報を、自国のサイバー工作だけに使うとは限らない。
イラン戦争が始まった今、ロシアとイランの間には情報共有の戦略的誘因がある。米・イスラエルの認証情報がロシア経由でイランに流れる経路は、構造的にありうる。Operation Synergia IIIが対イラン包囲網の一部であったとすれば、その包囲網が封じようとしている情報の一部は、すでにLeakBase経由で流出していた可能性がある。
アメリカはイランの資金源を封鎖しようとした。しかし封鎖が完成する前に、情報はすでに動いていたとみられる。
三つの事件は並列ではない。同一の情報戦の、異なる断面である。
第四章 ――三つの事件を貫く一本の論理
4-1 封じる動きと流す動きが、同時に走っていた
三つの事件は表面上は別々に見える。イタリアの法廷、INTERPOLの国際作戦、ロシアの国内逮捕——舞台も主体も異なる。しかし情報の流れを追うと、三つは同一の情報戦の異なる断面として収斂する。
アメリカは徐沢偉の身柄を通じて、中国のサイバー作戦情報へのアクセスを求めた。INTERPOLを動かしてイランの資金源と情報流通を封鎖しようとした。しかしその封鎖が完成する前に、LeakBaseはロシアに接収され、米・イスラエルの認証情報がイランへ流れる経路が構造的に成立した可能性がある。
封じる動きと、流す動きが、同時に走っていた。
三つに共通するのは「法的手続きの完了が、結果を決めていない」という事実である。しかしより正確に言えば、法的手続きは最初から結果を決めるために設計されていなかった可能性が高い。それぞれの国家にとって、司法は目的ではなく手段であった。裁くためではなく、獲得するため、封鎖するため、徴兵するために、法の形式が使われた——これが本稿の中心的な論点である。
従来の国際法の想定はこうであった。条約がある、手続きがある、判断が下りる、執行される。しかし現実には「執行」の段階で常に別の論理が割り込む。その論理の名前は、外交的配慮、戦略的利益、情報資産の保全——いずれも法律の教科書には載っていない言葉である。
サイバー犯罪者の処遇は、法廷ではなく交渉テーブルで決まる。彼らは「裁く対象」から「獲得する資産」へ、あるいは「交換する駒」へと変質した。
これは法の失敗ではない。法が想定していなかった現実が、法の外側で作動しているということである。そしてこの構造は、一度確立されると自己強化する。「司法手続きを経ても引き渡されない」という実績が積み重なるほど、次の交渉における法の重みは軽くなる。
この構造は、人質交渉と本質的に同型である。
人質外交において、身柄の拘束は目的ではない。交渉における手札の確保が目的である。そして技術者や科学者が標的になる場合、その構造は今回と完全に重なる。冷戦期に米ソがドイツ人科学者を争奪したように、身柄の背後にある知識と技術こそが本当の獲得目標であった。サイバー犯罪者の処遇も、その延長線上にあると本稿は論じる。
ただし、今回が示す新しさは対象の稀少性にはない。平時と有事の境界が消えた領域で、国家の訓練も組織も持たない民間の犯罪者が、国家級の兵器に相当するアクセス権と情報を保有するに至った——その規模と速度にある。かつて「技術者の争奪」は限られた専門家をめぐる話であった。今や対象は、フォーラムに潜む匿名の個人にまで広がっている。
Julian Assangeの事例はその過渡期として読める。彼の身柄をめぐる十年越しの交渉は、司法手続きが外交取引の包装紙として機能した典型であった。最終的な釈放は「司法が決めた」のではなく「交渉が決着した」ことを意味した。サイバー犯罪者の処遇が向かっているのは、その延長線上にある世界である。
4-2 この構造の中の日本
この構造は、すでに日本の外側にない。
第一は要求される側としての日本である。同盟国が逮捕したサイバー犯罪者の引き渡しや、捜査協力を政治的文脈で求められる場面は、構造的にありうる。その時、日本の司法と外交のどちらが先に動くかは、まだ制度的に整理されていない。
第二は標的にされる側としての日本である。LeakBaseに蓄積された認証情報の中に、日本の政府機関・重要インフラ・防衛関連企業のものが含まれていた可能性は排除できない。国家に接収されたデータベースは、いつ、どの文脈で使われるかわからない。
第三は最も見落とされがちな経路である。日本国内にも、国家級の情報を保有する民間のサイバー人材はいる。彼らが「獲得目標」として外国の視野に入った時、日本にはその事実を知る手段も、保護する制度も、現状では十分ではない。
第四は能動的プレイヤーとしての日本である。在留外国人管理に点数制を導入し、サイバー犯罪・SNS上の工作活動・不正アクセスへの関与を減点事由として明記することで、日本は二つの能力を同時に獲得できる。一つは、国内のサイバー脅威の早期把握。もう一つは、強制送還という外交カードの制度的裏付けである。
送還費用は出身国大使館が負担する。身柄は交渉の手札になる。スパイ交換を含む外交取引への転用も、制度が整えば構造的に可能になる。
イタリアがローマの法廷で迷っている間、日本が制度を整えれば、同じ交渉テーブルに着く資格が生まれる。受け身の標的から、能動的なプレイヤーへの転換——それは法の外側の話ではなく、法制度の設計次第で実現できる【9】。
◆ まとめ ――司法のあとにくるもの
徐沢偉がアメリカに引き渡されるかどうかは、本稿執筆時点でまだ決まっていない。
仮に引き渡されたとして、それは「法が機能した」ことを意味するのか。それとも「米国の外交圧力が勝った」ことを意味するのか。この二つは似て非なる命題である。
司法が終わった後に始まる交渉に、日本は備えているだろうか。
◆ 参考資料
I. 司法・引き渡し手続き
[1] 破毀院判決、徐沢偉事件、2026年4月(Il Foglio報道)
[2] 米連邦地裁逮捕状、テキサス州南部地区、2023年11月2日
II. 国際捜査・サイバー犯罪
[3] INTERPOL公式発表「Operation Synergia III」2026年3月14日
[4] TechCrunch / BleepingComputer:LeakBase管理者逮捕報道、2026年3月27日
[5] EUROPOL報道官声明、2026年3月
[6] FBI Most Wanted:Evgeniy Bogachev(公式ページ)
III. INTERPOLの資金構造・人事【追加】
[3-A] INTERPOL Financial Report 2022(INTERPOL公式)——米国拠出額の根拠
[3-B] Reuters, “UAE donates $50 million to Interpol foundation,” 2017年——UAE拠出の根拠
[3-C] The Guardian, “Interpol elects UAE official as president amid human rights concerns,” 2021年——UAE総裁選出の根拠
IV. 対イラン軍事作戦【追加】
[1-A] The Times of Israel, “Israel and US launch joint operation targeting Iran,” 2026年2月末——作戦開始時期の根拠
[1-B] Al-Monitor, “Epic Fury: The joint US-Israel military campaign explained,” 2026年3月——作戦の概要報道
V. 本財団既報
[7] 舩山美保「サイバー犯罪国際捜査の裏側」一般財団法人日本危機管理研究所、2026年3月18日 https://inst-ds.org/news/624/
[8] 舩山美保「ロシアが『犯罪者』を『国家資産』に変える日」一般財団法人日本危機管理研究所、2026年3月31日 https://inst-ds.org/cyber-security/796/
VI. 関連提言
[9] 岩本拓也(弁護士)・木下顕伸(中東アジア情報戦略研究所 所長)「移民・難民問題解決法はこれだ」YouTube、2026年 https://youtu.be/wQszQRQcaAg?si=xLJIe7zDW-Kie3AN
◆ 用語集 ――本稿を読むための言葉
引き渡し条約(Extradition Treaty)
二国間で締結される条約。一方の国で逮捕・訴追された人物を、相手国に引き渡す義務を定める。条約がない国同士では、法的義務は生じない。ロシアが西側諸国とこの条約を結んでいないことが、本稿の事例において決定的な意味を持つ。
国家転用(State Conscription)
民間のサイバー犯罪者を、国家のサイバー工作へ組み込む手法。逮捕・保護拘禁を通じて、その技術・情報・ネットワークを国家が接収する。
否認可能性(Plausible Deniability)
国家がサイバー攻撃への関与を否定できる状態を維持する設計。犯罪者個人を前面に立てることで、国家の直接関与を曖昧にする。
破毀院(Corte di Cassazione)
イタリアの最高裁判所。引き渡し手続きにおける司法上の最終判断機関。ただし実際の執行は行政(政府)が行う。
マルチドメイン作戦(MDO)
軍事・サイバー・宇宙・金融・犯罪追跡を統合した現代型戦争の様式。個別の作戦が独立して見えても、上位の戦略目標に収斂している。
Operation Synergia III(オペレーション・シナジア III)
INTERPOLが主導する国際サイバー犯罪摘発作戦の第三弾。2026年3月14日に発表。72か国が参加し、45,000以上の悪意あるIPアドレスを無効化、94名を逮捕した。数字の規模は印象的であるが、本稿が論じるように、その発表タイミングは米・イスラエルによる対イラン軍事作戦開始のわずか2週間後であり、単独の地政学的戦略との連動が疑われる。
LeakBase
世界最大級のサイバー犯罪フォーラムの一つ。政府機関・軍関係者・金融機関・重要インフラ企業を含む大量の認証情報が売買・蓄積されていた。2026年3月、ロシア内務省が管理者を逮捕し、事実上国家の管理下に入ったとみられる。その蓄積情報がロシアのサイバー工作、さらにイランへの情報提供に転用される可能性が、本稿の核心的論点の一つである。
